あなたがコンバージョンレートを理解していない5つの理由
ECなり、資料請求なりウェブサイトを通じて収益をあげることを生業にしている人にとって、コンバージョンレート(以下、CVR)の改善は重要な仕事の一つです。
そんなCVRをあなたは正しく理解できていますか?
まずは、CVRの定義をおさらいしておきます。
「CVR=コンバージョン数 ※1÷ 訪問者数※2」
※1:「ユニークコンバージョン数」を使う場合もあり
※2:「訪問回数(セッション数)」を使う場合もあり
サイト運営に関わっている人であれば、ここまでは問題ないと思います。
以上を踏まえた上、さっそく本題です。
サイトAとサイトBのどちらが使いやすいか10秒考えてみてください。
<ケース1>
サイトA:CVR1.0%
サイトB:CVR2.0%
多くの人が「サイトB」を選ぶのではないでしょうか?
でも、「この情報だけでは、わからない」が正解です。
それでは次のケースはどうでしょう?
<ケース2>
サイトB(2011年6月):CVR2.0%
サイトB(2012年6月):CVR1.5%
サイトBは2011年と2012年のどちらが使いやすかったかを10秒考えてみてください。
1年で悪化しているように見えますが
これも「この情報だけでは、わからない」が正解です。
それでは、それぞれの理由を解説します。
<ケース1>
どちらのサイトがよいのかわからない最大の理由は「誰をターゲットに何を提供するサイトなのか不明だから」です。
例えば、100円のペンを販売しているサイトと1,000万円の車を販売しているサイトでは、コンバージョンまでのハードルが違いすぎます(商材の魅力にもよるため、この例が適切かわかりませんが)。
つまり、全く異なる業界のCVRを比較して、良し悪しをつける事は意味がありません。
よって、「一般的なサイトのCVRは何%?」という質問も同様に意味がありません。
<ケース2>
ケース1の要因を排除するために、業界どころか、同じサイトの異なる期間(前年同月)を比較しました。
これでもどちらが使いやすいサイトかわからない理由は何故でしょう?
それは「集客要因(ユーザーの質の違い)」です。
今回、提示した情報に来訪者の情報がありません。
もし、集客条件が全く同じであれば、2011年の方が使いやすかったと言うことができる"かもしれません"。
しかし、異なる期間において集客条件が同一条件になることはあり得ません。
大きな理由の一つに検索エンジン(自然)からのによる流入があります。
日々、Google様のご機嫌で変化するため、アンコントローラブルだからです。
仮にリスティング広告からしか流入のないサイトで、全く同じキーワードを同じボリュームで流していれば比較できる場合もあります。
ここまでのブログの記事で、CVRからは何もわからないようなネガティブな印象を与えてしまったかもしれません。
「CVRを見る意味はないのか?」と言われるかもしれませんが、そんなことはありません。要は使い方です。
<CVRを有効に使えるシーン>
・ABテストによる比較
同一の期間に同一の集客条件が揃えば、CVRをサイトなどの良し悪しを測る指標として用いる事ができます。
それを実現するための方法にABテストがあります。
GoogleがABテストのサービスを提供しているため、容易に行えます。
ここではABテストの手法については割愛します。
・サイトの異変を察知するため
日々、集計してウォッチしておくことで、何か数値に変化があった際に早く気づくことができます。
例えば、集客の量には変化がないのに、急にCVRが下がったなんて場合には、SEOのアルゴリズムが変化していたりします。
「あなたがコンバージョンレートを理解していない5つ理由」のおさらいです。
①業界とターゲット
結果的に似たようなCVRになる業界やターゲットが存在しているかもしれませんが、それらを比較して良し悪しをつける事は意味のある行為ではありません。
勘違いして欲しくないのは、CVRを改善するための成功事例は業界が変わっても参考にすることはできるため、アンテナを張って情報収集することは重要です。
②集客
CVRはサイトの良し悪しだけではなく、集客されてきたユーザーの質に大きく影響される。
響きが良いのでタイトルに「5つの理由」としていましたが「2つの理由」しか語っていませんでした(笑)
大丈夫、忘れてはいません。
今回、取り上げたケースでは出しませんでしたが、CVRに寄与する3つ目の要因を紹介します。
一言で言うと「外部環境の変化」になりますが、3種類紹介していきます。
③季節要因
ケース2では同一の月の比較でしたが、前月比を見ることは多々あります。
業界によっては気をつける必要があります。
・ボーナスやクリスマス、入学、入社、転勤などのイベントの有り無し
ECサイトや不動産サイト、就職・転職サイトあたりには大きく寄与します。
・曜日による違い
グルメサイトや乗り換え案内サイトは曜日によって、トラフィックが大きく増減します。
④競合要因
ユーザーが競合サイトと併用している際に影響を受けます。
競合が魅力的なソリューションを提供し始めた場合、自サイトは変化していないが、ユーザーからは相対的に悪化したように映ります。
その逆もしかりです。
つまり、自社だけではなく、競合を意識しましょうということです(こうして書くと当たり前ですね)。
⑤市場要因
サイトのUIや機能の良し悪しではなく、取り扱う商品が魅力的ではなくなった場合に影響を受けます。
つまり、自社の提供するサービスが市場において、求められなくなったことを意味します。
これはサイトの最適化で解決するのではなく、ビジネスレイヤーで大きく考え直す問題です。
以上、後付けっぽくなりましたが、外部環境の変化の3つを合わせて5つの理由になります。
日々、当たり前に見ているCVRですが、様々な要因で変化してしまう指標です。
意味を理解した上で数値を見る癖をつければ、新たな気づきを得られるかも?